ガン食事療法全書 要約 

ガン食事療法全書 マックス・ゲルソン著 要約  徳間書店

ガン食事療法全書 概要

肉体の内臓、器官、組織の代謝には調和が保たれていなければならない。代謝に乱れが生じるとそれが病気の始まりになる。

食事の3/4は全ての種類の果物、新鮮な野菜(冷凍したものは駄目)、無精白のライ麦か小麦で作ったパン類、乳製品、甘味料は赤砂糖、蜂蜜、カエデ糖など。

残りの1/4は、各人の好みで構わない。肉、卵、ナッツ、キャンデーやケーキなど自分で選んでよい。タバコは駄目、酒は控えめに、強い香辛料は避ける。野菜の調理法は水を加えずそれ自身の水分で煮ること。
カリウムとナトリウムの体内バランスを重視し、必要なミネラル、ビタミン、酵素を自然の取り合わせで、かつ不足させないように摂る。出来る限り有機栽培の野菜や果物を新鮮な状態で食べよう。

ガンは単純な細胞の問題でなく、体全体の代謝の質を低下させていくような多くの有害な要素が蓄積され、肝臓の働きが次第に阻害された結果出て来る病気である。  

血液中では完全に生き延びられるガン細胞も炎症滲出液の中ではすぐに死んでしまう。これは炎症という現象が起きればガンに特有の代謝はストップさせられ、ガン細胞は激しい酸化現象を伴う炎症反応の中で死滅せざるを得ないことを意味している。

組織培養器の中ではガン細胞は39度でダメージを受け、42度で死滅すると見られ、正常細胞は43度でダメージを受け、死滅するのは46度から47度であろう。

飲食物は病的な状態を起こすことも出来、善悪、穏健、凶暴など全ての性格をつくる要素になる。
ガンからの回復は他の主要な器官にトラブルや破壊が起きていない場合、肝臓をどこまで回復させられるかにかかっている。

肝硬変には大量の炭水化物を食事から摂るとよい。また十分な生物学的価値のある蛋白質をとらねばならない。患者が必要以上の蛋白質を摂っても過剰のリスクはほとんどないので高蛋白質の食事にする。

コリンやメチオニンの肝臓を保護する働きが、脂肪の過剰摂取で失われる。脂肪は最小限でよい。

細胞内のカリウムグループ優勢の器官が約60%、ナトリウムグループが優勢の器官が29%で、両者の境界にあるものが11%である。

甲状腺の機能亢進症は甲状腺中のヨード量が低下し、血中ヨード量の目立った増加になって現れる。
基本的に重要なミネラル(カリウム、ヨード、燐)、酸化酵素や補助酵素、ホルモンが必要である。

これら全ては体の中で活性化され、再活性化されねばならない。ガンの治療とは腸管および腸管外の栄養吸収により全体の代謝とともに病気に対する自衛力と治癒の機能を回復させることである。

適切な栄養が全般的な健康にとって大切である。

ここ十年から二十年の間に野菜や果物中の蛋白質の含有量は低下しカリウムの含有量も低下し、逆にナトリウムの含有量が増えている。有機栽培の野菜や果物を使わざるを得なくなっている。

病んだ腎臓は過剰な塩素で過度に刺激されたり、過重な負担をかけられることがなくなると、驚くほど短期間に回復する。断塩食で体をクリーンにすることは全身のナトリウム、塩素、水分を減らす、そして細胞の浮腫をなくす。

負の電荷にチャージされるカリウムグループのミネラルと正の電荷にチャージされるヨード゙物質の活性化のための道を開く。

この変化によりガン細胞は代謝率を上げざるを得なくさせられるらしい、ガン細胞は醗酵でしか生きられない、だから新しく、かつ急激な変化に適応出来ない。そして崩壊し死滅する。
そこで全ての主要な機能、再蓄積されたミネラルの代謝という機能、体の解毒作用などが治癒力の向上のためには不可欠で、肝臓の働きに集約的かつ最終的に係っていると言える。

断塩食の勧めと食事

病気の程度にあわせて。断塩食を勧める。

植物の生産性を保つためには失われた硝酸やカリウムを土壌に返してやらねばならない。銅、マンガン、コバルト、鉄、ヨード、ホウ素、亜鉛がppmレベルの微量ではあるが必要で、これが欠けると植物も動物も病気になってしまう。

ガンの治療食とそのつくり方。この治療食は普通の食事とは完全に違うものである。果物、葉菜類、根菜類の絞りたてのジュース、サラダ、水を加えずに煮た野菜シチュー、スープ、塩抜きのライ麦パン。

治療開始六週から十二週後に動物性蛋白を加えるようにする。

禁ずべきもの。タバコ、塩、強いスパイス、お茶、コーヒー、ココア、チョコレート、アルコール、白砂糖、白い小麦粉、キャンデー、アイスクリーム、菓子、ナッツ類、茸、大豆製品、漬物、きゅうり、パイナップル、全ての水分の多い液果類、飲み水、アボガド、缶詰や保存食品、硫黄で漂白した豆類、冷凍食品、燻製品、乾燥または粉にした食品、缶・瓶詰めのジュース、全ての油脂類、塩の同類品。

一時的に最初の数ヶ月禁ずべきもの。ミルク、チーズ。バター、魚、肉、卵。

調理用具で使用していけないもの。圧力調理器、蒸気調理器、アルミニウム製品。普通のジューサーや遠心分離機式のもの、ジュースミキサーなどは使わない。

使用可の調理器。ステンレス、ガラス、ホーロー、土器、鉄の鋳物、ブリキ製品。
乾燥した果物でも硫黄で漂白されていないものは使っても問題はない。

・ジュースは必ず絞りたてのものを飲むこと、作り置きすることは出来ない。

・水を飲んではいけない、胃の許容量の全てをジュースとスープで当てるためである。野菜は水を加えず弱火でゆっくり調理する。強火にするとミネラル分が体に吸収されにくいものになり貴重な成分が失われる。

イモ類や赤ビートは皮をむかずに水を入れて調理する、皮をむくと皮のすぐ下に蓄積されているミネラルやビタミン類が失われるからである。調理したスープなどの食品は冷蔵庫で48時間は保存してよい。

ペパーミント茶はお湯2カップに乾燥葉、おさじ一杯を入れ5分間煮たてて煎じる。

少量のヨードはガン細胞の成長を促進し、大量に与えると異常な成長を抑えるという結果が出ている。
甲状腺はカリウム群のミネラルの再充填を容易にし、色々な組織や細胞から、外にあるべきナトリウム、塩素、水分を取り除くことも行う。

最も大きな問題は、生きよう、治ろうという患者の意志の問題である。体の回復には患者の精神状態、家族の心理的協力、環境が重要な役割を果たす。